OKASHINAKUNのブログ

ドラマ感想と、日常と、時々ボクシング

相棒6 #19(最終話)

■あらすじ

死刑囚の錦貴文が獄中で死亡した。右京と薫は病死であることを証明するための解剖に立ち合うが、右京は貴文の刑が19年間も執行されなかったことに疑問を抱く。
25年前、解雇されたことを恨み、元上司の妻を包丁で刺すと家に火を放ち娘をも殺害した貴文。無罪を主張したが、いくつかの証拠が決め手となり死刑が確定していた。
しかし、一方で貴文を無罪と信じる弁護士・茂手木は再審を請求していたが棄却されていた。

右京は当時の裁判官の生き残り、あの三雲法男判事から事情を聞くが、三雲は正式な捜査でなければ、と多くを語ろうとしない。

 

■元刑事殺害

そんな折り、貴文の事件を担当していた黒木警部補が何者かに殺害された。 
刑が執行されなかった理由にこだわる右京に、小野田はそれとなく黒木殺害事件の捜査を促す。

 

■元法務大臣

右京は小野田の勧めに従い、法務大臣を辞任したあとシスターに転身した橘ゆり江に会いに行く。法務大臣時代は死刑執行命令書にサイン、その度に懺悔に言っていたというゆり江。しかし、あるとき貴文の教誨師をしていた神父から、無実を叫ぶ貴文に死を受け入れる心の教えをした、と告白されたという。神父は不適当だった、と教誨師を辞任。ゆり江も貴文の再審請求が棄却されてから、死刑執行命令書にサインできなくなり大臣を辞任した。
「誰だってそんなものにサインしたくない。」

ゆり江は大臣時代の苦悩を右京に打ち明ける。

 

■第2の殺人

黒木警部補に続き、貴文の母娘放火殺人事件を担当していた緑川検事(遠藤たつお)の他殺体が発見された。警視庁は合同捜査本部を立ち上げ本格的な捜査に乗り出すが、右京と薫は黒木と緑川に恨みを抱く貴文の父・文忠(林隆三)から話を聞く。

アリバイはない、と言い切る文忠は証拠の矛盾を無視した裁判所への怒りを露にする。貴文の死刑が確定した年に妻を自殺で失った文忠。その怒りももっともだが…。犯人に感謝しているとさえ言い放つ文忠に捜査本部も疑惑の目を。右京も文忠を容疑者というが、薫はどうしても納得できない。

右京と薫は茂手木を訪ね、文忠が言う証拠の矛盾について説明を受ける。決め手となった血液掌紋の指紋は不明確、靴痕にしてもスニーカーの量産品だけに貴文のものと決めつけるのはおかしい。茂手木は怒りを露にするが、逆に貴文は再審請求がダメになり達観するようになったという。自分は前世で悪い行いをした、だから現世で処刑されるのだ、と笑顔さえ浮かべていた貴文。茂手木の再審請求も最後まで拒み続けていたという。

黒木警部補が殺害された当日、25年前の母娘放火殺人事件の関係者の指紋と何者かの指紋の照合を依頼していたことがわかった。が、誰の指紋と一致したのか?伊丹(川原和久)は文忠の指紋ではないか、と推理するが…。

三雲判事が貴文の死刑が確定した年に離婚していた。貴文の死刑を待ち続けていた被害者の元恋人・飯田正志、妻を亡くした文忠、さらに茂手木、ゆり江、三雲…。25年前の事件はさまざまな人たちの人生を狂わせてきたようだ。

文忠が東京地裁に緑川検事を訪ねていた可能性が高くなった。黒木警部補は25年前の事件の真犯人を突き止め、緑川検事に話した。そして殺害された…。右京は飛躍ともとれる推理をする。

 

■現金窃盗

貴文が25年前の事件で現金を盗んでいたことがわかった。ということは、犯人の手元には今の札とは違うデザインの旧札があるはず。生活安全課の古物担当だった黒木はその旧札を売りに来る人間をマークしていたに違いない。そして、その人間の指紋を25年前の事件の関係者と照合させて…。

さらに右京はゆり江から国も貴文が冤罪ではないか、という疑いを抱いていた事実を知らされる。だから刑が執行されなかったのか。さすがの右京も衝撃を受けて…。

薫の追及に文忠が緑川検事を訪ねていたことを認めた。先に黒木警部補が大切な話があるとやってきたが、怒りが込み上げ追い返したという文忠。しかし、気になって改めて面会しに行ったが、黒木、緑川の姿に怒りが抑えられなくなり、そのまま会わずに帰ってしまったという。そんな文忠に2人の殺害容疑がかからぬよう、三雲が地裁の来訪記録を破棄したらしい。

右京はそんな三雲に令状をとって欲しいと請求する。
「25年前の真犯人がわかりました」。

右京の言葉に三雲の表情も一気に凍りつく。

 

■真犯人

右京と薫は伊丹らと令状を手に飯田の自宅へ。捜索の結果、旧札の札束が多数発見される。指紋を調べれば飯田が犯人であることは明らかになる。そんな右京の言葉に飯田は犯行を自供、しかし事件は時効だと開き直る。

が、今度は黒木が持ち出した25年前の飯田の指紋シートが発見された。指紋から真相をつかんだ黒木と緑川を殺害したのは、やはり飯田だった…。悔しげに自供する飯田を逮捕。右京はそんな飯田に事件の関係者が味わってきた苦しみを伝える、それでもなお抵抗する飯田を伊丹らが取り押さえ手錠をかける。

 

■三雲のその後

そして右京と薫は文忠をとともに三雲のもとへ。改めて無罪の息子を死刑囚にされ、妻を失った怒りをぶつける文忠。しかし、三雲もその苦しみを忘れぬよう判決文を常に持ち歩いていた。
「三雲さん、私はあなたを許します」。

忠文の言葉に三雲はただただ涙を流して…。

その三雲判事が裁判官を辞めることになった。つまり、かつて裁判員制度を止めるため、一人の人間を殺してしまった責任を、右京は三雲にとらせる形となったわけだ。

 

■ラスト
「残酷なことをするねえ」。
そういう小野田に対して薫は右京を庇う発言をするが、実は三雲は右京が頼んだ令状のため、裁判官を辞めさせられるのだという。
「杉下の正義は時に暴走するよ」。
 小野田の言葉に言い返せない薫。

そんな薫はつとめて明るく右京に語りかけるのだった。
「ラーメンでも食いません?」。

 

■感想

ちょっと気になる所もありました。

第一に、自分の指紋を消すために犯人・飯田が富山家に火を放った件。飯田と被害者の女性が恋人同士だったのなら事件以前に家へ招かれていてもおかしくないのでは? もし一度も招かれていないのだとしたら、飯田はどうやって富山家の場所を知ったのでしょう。せめて、靴跡や血の付いた指紋を消すためにしてほしたかったところ。
第二に、母親よりも娘の方が先に亡くなっていたという件。火に巻かれた(要するに焼死)とかならまだしも、一酸化炭素中毒死ではどちらが先に死んだかどうかなんて、その場でわからないのでは? 飯田は火を付けた直後に逃げたはずですし、娘さんは逃げ場のある階段側にいたわけですから。

第三に、残されていた指紋シートの件。燃やすのが無理なのはわかるとしても、だったら裁断するなり破くなりして処理すればよかったのでは? 原型のまま補完しておくのはどうかと……。細かい破片にしちゃえば、外に捨てに行かなくてもトイレとか、でなかったらシンクにでも流しちゃえばいいんですし。

まぁ、いずれも事件をスムーズに解決へ導くための処置だとは思いますが、多少強引な感が否めません。そう言えば、飯田が被害者と別れた(別れさせられた)理由や、それを被害者がどう思っていたのかも明確には描かれてないんですよね。その辺り、もう少し配慮があってもよかったのではないでしょうか。